(ネコ) ぐーぐーのこと

2010年7月、彼女は十番の母が拾ってきた。
(十番の母=学生時代のバイト先の店のおかみさん)
十番の母の家には既に二桁に届く数の猫がいたので、どうしようか、ということに。
一度拾ってしまった猫を再度捨てるなどできるわけもなく。
猫だか鳥だかわからない白い生き物の行き先は、身内同然で既に2匹の猫がいるウチに白羽の矢がたったのは自然なことだったのかもしれない。

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家族3人で引取りに行って来た。家に戻って体重測ったら70gしかなかったよ。
スポイトでミルクを1cc単位で飲ませ、おしりをふいてうんちさせた。

名前は「ぐーぐー」にした。
小泉今日子さん主演の「グーグーだってネコである」から頂いた。
そう、こんな子でもネコである、という意味だ。

ピーピー泣いてたこの子も、だんだん猫の形状になってきたが、目のまわりやら頭の形やら、ちょっと普通の子と違っていた。
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これまでうちに来た猫たちの3ヶ月目と明らかに成長の度合いが遅い。きっと、すごく早産で、親猫が諦めたんだとみんなで話していた。

とはいえ、だんだん大きくなって歩くようにはなったが、走ることはなかった。ジャンプもできず、床の高さを水平に移動するしかできない子だった。ちょっとビクビクしてて、目が見えないのか、耳が聞こえないのか、きっと知覚系に問題があったのだと思うが、ちゃんと玄関にある餌のお皿まで歩いて行くし、自力でご飯食べるし、お風呂の洗面器から水を飲むことも先輩のマネをしてできるようになったので、ある程度は見えたり聞こえたりしてたんだろうけど。

ときどき癇癪を起こして、興奮してうーうーうなることもあった。最初はびっくりして、どうしようと思ってたけど、最近では慣れて、「はいはい、そんなに怒らないの」とあまり特別視しなくなっていた。

冬場はぬくぬくするところが大好きで、日向のカーペットの上や、ストーブのすぐ目の前でひげをヒヨヒヨさせながら寝るのが好きだった。
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小さい頃、しばらく畳でおしっこをして、困らせた。畳の部屋には入れないようにした。最近では、おしっこは専用のトイレでするようになったが、うんちは時々、トイレ代わりのケージの周りの床にしてた。朝起きて、カーテンを開けるときに踏まないように慎重に床をチェックする必要があった。
だっこが好きでだっこすると、うっとりして、しばらく撫でられているけど、飽きてくると、もうおろせ、と脚をばたばたさえてアピールした。
彼女が我が家でちゃんとした猫として生きていられるのは、震災の直後、腎不全で亡くなったアメショのクリクリがだいぶ世話をして、面倒を見てくれたからだと思う。
おかあさんのように、ぺろぺろしたり、いっしょに寝たりしていた。
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クリクリがなくなってからは、ちょっと寂しそうだった。

2月の12日、家の中のちょっとした段差から落ちて、ものすごくびっくりして動転した時に、水頭症だった頭の中で何かが起きてしまったようだ。激しく走り回ったあと、倒れて痙攣したり、と明らかに様子がいつもと違う。
後ろ髪惹かれる思いで出張に行った。嫁さんと娘はそれから、和室で一緒に寝ていたらしい。

バレンタインデイの朝、人間が起きたタイミングで大好きなストーブの前に抱いていき、昔みたいに、スポイトで水をあげたら、ちゃんと飲んで、しばらくしたら、息をしていなかったらしい。2歳半だった。

バンコクいたオレの携帯が、嫁さんからの着信で鳴ったとき、あぁ、ぐーぐー、ダメだったんだな、ってわかった。出張中にFacetimeはしたことはあっても、通話で呼ばれたのはこの時だけだった。
彼女は自分のママのおっぱいを飲んでなかった。彼女は自分のママのぬくもりの中で寝たことはなかった。彼女の家族はうちの家族だけだった。だんだん距離感をつかんで、いい関係になったと思い込んでいた。でも、彼女の体の中ではいろんなことが起きていたのかもしれない。でも、本当にキレイでかわいい子になったんだよ。
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今日になって(ぐーぐーが亡くなってから10日ほどすぎて)、改めて嫁さんと話したのは、いわゆる健常でない子供が明日うちに産まれても、絶対、全力で育てていける自信がついた、ということ。本当に可愛いと思って愛せる自信がついたこと。ぐーぐーがうちにいた歴史には意味があったと本当に思う。もしかしたら、人間の個性の強い子がうちにいたら、いま想像してるよりも大変なことはあると思うけど、フツーの子と違うだけで優劣もなければ、まして善悪もないことは、身を持って体験したと思う。

話を戻すと、ぐーぐーは本当に可愛かった。本当に可愛かった。
うちに来てくれて、抱っこされてくれて本当にありがとう。
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